そして2009年。僕は岡持ちにファミコン互換機を搭載していた。

スーパーファミコンが流行りだしてしばらく後、僕は格闘ゲームブームや3D視点に馴染めず、そこでゲームプレイの進化の時間を止めてしまった。でもゲームをやめたわけではないから、以降もほぼ一貫して、スーパーファミコンまでのゲームを買ってはいた(安かったし…)。結果として、いま僕の部屋には、何百本というファミコン・スーパーファミコンのソフトが置かれているわけだ。しかし残念なことに、ここ何年かはゲームで遊ぶ相手がいなくて、放置ぎみである。
この個人的なゲーム停滞状態を打破するため、ファミコンは新たな段階に踏み込む必要があると、僕は判断した。たとえば、どんな場所でもみんなで楽しめる、出張型持ち運びファミコンを実現してはどうか。持ち運びと言えば、そう、岡持ち。…え、強引? でも実際、丸ごと運ぶとそのくらいの大きさは必要だろう。必要だよね。理に適ってるよね。そう自分に言い聞かせて、僕は岡持ちファミコンの製作を始めた。(※日程的事情により、仮仕様での製作である。後日もう少しちゃんと作る予定。)

外でファミコンをプレイするためには、三つの要素が重要になる。すなわち、ゲーム機本体、モニタ、電源である。
本体に関しては、数年前にひとつ500円で買った互換機基盤「魑魅魍魎」を使おう。これは基盤だけなので分解する必要がないし、小さい。適当なものに固定すればそれでいいのだ。映像・音声出力はお馴染みの赤白黄のピンプラグ、電源はファミコンのACアダプタが使える。ただ、屋外でやるならACアダブタでは駄目だ。まさか発電機まで持って行くわけにはいかない。電池ボックスをつけなければ…。それと、最初からついている電源スイッチは小さく押しづらい。これも換えたい。
僕は電子工作は嫌いではないが、得意でもない。できれば複雑な作業はやりたくない。元々大雑把だし、何か致命的な失敗をして壊しそうだから。
泣き言を言ってもしょうがないので、近所のホームセンターで買ってきた単三電池ボックス4本分(2個、リード線つき)とスイッチを、ビクビク震える手で半田付けした。ちなみに半田ごては、少し前に315円で買った物を使った。半田は105円…。100円シッョプってなんでもあるんだねぇ。

(大して何もしてないが)出来上がった基盤を、スペーサーとネジとナットで、岡持ちの棚板に直接固定する。別の箱に据え付けたりはしない。岡持ちファミコンであるからには、なるべく岡持ちと一体化してほしいのである。ただ、準備不足で、ソフトを手前から差す形状にできなかった。内部の高さの制限上、上方向から差すのは避けたかったが、今回は仮仕様なので諦める。棚板は5.5mmのベニヤなので、ネジ穴は105円のねじ切りで簡単に開いた。
電池をセットしてスイッチON。発光ダイオードが赤く光る。とりあえず通電し稼動することは確認。仮仕様なのでスイッチ類は固定していない。ショートしないように仮止めしてあるだけだ。
問題はモニタだ。できれば小さい液晶だけの部品を買って設置したいところなのだけど、電子工作的にいろいろややこしいらしい。やだやだ。今回は素直に、ポータブルDVDプレーヤーという手段を取ることにした。岡持ちに積める大きさで、映像・音声の入力が可能で、充電バッテリーつきのものだ。岡持ちと同じくらいの値段はするのだけど…。まあ用途はゲームだけじゃないから、いいか。当然スピーカーも兼ねてくれるし。

ポータブルDVDプレーヤー(=モニタ)は、通常は岡持ちの上に載せて使う(基盤を裏返しにすればモニタも内部に納まる。最初の写真のように)。これにファミコン本体を繋ぎ、電池と充電バッテリーで起動してみた。おお、動く。動くぞ!(繋いだだけだから当たり前だ!)※動画ではモニタはACアダプタから電源取ってます。
この日、岡持ちとファミコンは大いなる一歩を踏み出した!
後編に続く
ラベル:改造